コラム

お盆のひと時


 猛暑のお盆、いかがお過ごしでしたか?私は当コラム「七夕のねがい」で書いた兄夫妻がお墓参りに帰省しました。二人輝く笑顔でお土産を渡してくれながら「リエゾンのコラム読んで自分のことが書いてあってびっくりしたよ。七夕の短冊のことを思い出しながら二人で読んだよ。弁護士さんの四季録も素晴らしいね。リエゾンのみなさんでかりんとう食べてね。パッケージがとても素敵で選んだから缶は手元で使ってくれるとうれしいな。」と話してくれました。
 その缶に描かれている絵は、アルフォンヌ・ミュシャの『黄道十二宮』、作品の主題は「時」。太陽が描く軌跡である黄道に十二の星座が描かれ、永遠のシンボルの月桂樹、昼と夜の象徴、ヒマワリとケシなど時を象徴するモチーフが描かれています。ミュシャ作品の中で私が大好きな一つです。お菓子をリエゾンでみんなに配った時、「あらっ、かりんとうの中に金平糖も入っている!」と思いがけない発見の声も頂き、多忙な中でリフレッシュのひと時となりました。
 兄夫妻は叔父の案内で田舎のお墓参りと明治に建てられた古い家に行き、家族の歴史に触れるひと時を過ごしました。帰りには、長年、祖母が手元に置いて毎日開いては見ていた兄家族のアルバムを受け取りました。どの子も生まれた時からの写真が一杯詰まっていました。
 お盆の帰省は家族の歴史に触れる時間です。久しぶりに親戚と会って、時の流れの早さに驚き、子どもたちの成長の目覚ましさを語り合う中で、生まれた時から自分を見守ってくれたたくさんの人の存在を知ることができます。周りの人との触れ合いの中から自分では気づかない、自分自身を知ることができます。そしてまた、自分より小さい人たちの姿をしっかり見守り声をかけ、記憶にとどめます。それを10年後、20年後に語って伝える。そういう大切な家族の時です。
 2024年お盆にもらった『黄道十二宮』の缶を私は手元に置いて、日々の小さな出来事を残していきます。それが積み重なっていつか大切な記憶となることでしょう。
 子どもはどの子もこの世に生を受けてから一日一日大事に時を積み重ねて成長していきます。それを一緒に過ごして覚えて語り続けること。それがその子の生きていく力となります。かつて、ある養子縁組で親子となった里子さんの声をお聞きしたことがあります。「赤ちゃんの時の写真が一枚もない」と。「あなたはここでこのお母さんに抱っこされていたのよ。」と大切な宝物を優しく包み込む親子の姿を伝えてあげることができたら。リエゾンは親子の大切な「時」に寄り添わせていただきます。
(石丸)

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