夏の花
夏の花と言えば、朝顔、向日葵、それともあなたは何を思い浮かべますか?
私の母は、朝顔が大好きでした。種を採っては次の年に植えることを繰り返していました。特に青い花が好きで、青い花が咲かなくなった年には、青い花の種を県外に住む娘から送らせた程です。朝一番庭に出て、朝顔の花を見るのが好きだと言っていました。私は、四人の子どもの子育てをしていた頃のこと、子どもの成長と共に歩んだ記憶を楽しんでいるのだろうと思っていました。小学生の頃、朝顔の種をまいて、夏休みにはその成長を観察し花の数を数えたものです。
今年も朝顔の咲く時期になり、きょうだい四人で母が好きだった朝顔の話をしました。そこで出た姉からのことばに驚きました。朝顔は母自身の子ども時代の夏の縁側の想い出だと。
そういえば、母の想い出話は、いつも母屋で過ごした子どもの頃のことでした。家には病弱な妹がいて両親は妹に付ききりだったから、母は近くの母屋に行っては祖父の元で叔父叔母から我が子以上に大事に育ててもらったそうです。いとこたちと一緒にご飯を食べて、一緒に遊んで、家の前の泉で涼を取り、縁側に座って庭に咲く花を見る、軒下には青い朝顔が咲いていたのでしょう。母は祖父や叔父叔母と過ごした穏やかで和やかな幼い頃の幸せな時間が生涯心の支えでした。
今は親族で子どもを育てる時に、叔父叔母ならば養育里親、祖父母であれば親族里親という制度があります。子どもの周りにいる家族みんなが笑顔になる制度です。子どもリエゾンえひめでおつなぎしますので是非お声かけください。
施設でのおはなし会でメンバーのAさんが出すなぞなぞの中に一つは花の名前が入っています。花の名前を知ってそれが次の楽しい記憶に繋がることを願っています。「朝、がおー!という花は?」子どもたちみんながどっと笑います。子どもとともに笑うこと、私たち大人にとってもかけがえのない時間です。
(石丸)
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