花から種へ
これはえんどう、とうろく?ちょっと違うような・・・実は大根の種が入った鞘です。二月が旬の大根だったのですが、三月には可憐な白い花が咲きました。花の後、気づくと豆かと見間違える程りっぱな鞘になっていました。鞘の中には、ゴマよりもやや大きい茶色い種ができています。
畑の草たちも少しずつ表情を変えてります。たんぽぽ、なずな、ほとけのざ、おおいぬのふぐり、からすのえんどう等々それぞれにかわいい花を咲かせていましたが、今は花から種の季節です。たんぽぽの綿毛が風に揺れています。風に吹かれてたんぽぽ綿毛は旅に出る、からすのえんどうのさやはぱちぱちはじける準備中。
畑の草たちを見ていて、随分前におはなし会で子どもたちと楽しんだ一冊の絵本を思い出しました。「たねが とぶ」(甲斐信江さく 森田竜義監修 福音館書店)。緻密だけれどやさしいタッチの絵で草花や昆虫たちの姿が描かれていて、生き物の表情が手に取るようにわかり、自然の息吹きが伝わってくる素敵な絵本です。春には、野原や畑、道端で草たちが花を咲かせ、花の後には実ができて、鞘の中には小さな小さな種ができる。やがて草たちの種は風や人、動物、昆虫等周りの力も上手に使って旅立つ。たんぽぽ綿毛は初夏の風に吹かれて、ふわふわふんわり舞い上がり新しい場所へと移る。こうして、たどり着いた所で芽を出して花が咲き、命をつなぎます。「たねが とぶ」今の季節に是非開いてほしいお勧めの絵本です。
草花も私たち人も同じ、成長して花が咲いて実になって種ができて次の世代につながっていきます。小さな種が高く遠く飛んで新しい生活をスタートできるよう、旅立ちの時期にそっと力を添える風に、あなたもなってみませんか?
(石丸)
【次回:トイレの貼り紙】
【前回:6月の風景】