コラム

6月の風景


 あなたが心に描く風景は石鎚山でしょうか、それとも瀬戸内海でしょうか?
 私には故郷の山と川を背景に広がる街並みです。
 私が所属している女性支援の活動をするボランティア団体では、年に一度講師をお迎えして、電話相談員のための事例研修会を実施しています。そこでアイスブレイクとしてこれまでに二度風景構成法をしました。紙に講師が線を引いて枠を作り、各人は講師が言う順に「川・山・田・道・家・木・人・花・動物・石・足りないと思うもの」の11項目の絵を書き入れます。
 私が書いた風景は、二度とも私の故郷の景色でした。山の形、川の流れの向きと広さ、田んぼの形や家から田んぼへ続く道、家の周りに木が並び、花が咲く庭を走り回る子どもたち。中でも一番熱心に細かく描いたのは田んぼでした。田植えが終わって苗が一列に並ぶ青々した田んぼ、その上を吹く緑の風の中を二羽の燕がスイスイと飛び回る6月の景色、私の原風景です。
 「自分の弱みのあるところを熱心に描く傾向がある」という講師コメントの一つが私にはストンと腑に落ちました。「田」は「仕事・課題」とか。そう言われれば、私の頭の中では「あれをしなくては、次はこれをしなくては、決まり通りしなくては」と「ねばならない」に支配され、できていないことが気になりイライラしては周りの些細なことに腹を立てています。「大丈夫、大丈夫、これでいい」と少し力を緩めて今の状態を自分で認めることがいいのかもしれません。
 チームみんなと学び合い語り合うことで凝り固まった考えが少しずつ解きほぐれて、気持ちが晴れて来ます。私たち相談を受ける者こそ自分自身を大切にして、一人で抱え込まないで仲間と共にチームで対応することで、相談者に対してもよりよい支援に繋がるのだと再認識しました。
 初夏に植えた苗は、新鮮な水、燦燦と輝く太陽そして吹く風に守られて自らぐんぐん育ち、実りの秋に向かいます。人も同じで、一人でどうにかしようと肩ひじ張って力んでもダメ。周りの色々な人に囲まれてたくさんの愛を受けて子どもは健やかに成長する。お米も人も八十八の愛情かなと田んぼを見て思います。
(石丸)

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