ことばの魔法
「がんばっていきまっしょい」街中で一枚のポスターが目に飛び込んできました。松山市主催第4回坊ちゃん文学賞大賞作品である松山市出身の作家敷村良子さんの小説『がんばっていきまっしょい』(幻冬舎文庫)が、アニメになるのをPRしたものです。
小説『がんばっていきまっしょい』はこれまでに映画やテレビドラマにもなっています。2005年放映のドラマの前、松山でロケがされていました。ある朝私は、当時松山市御幸町にあった児童相談所の前の川岸の道を、桜満開の下、制服姿の女子高校生が走っているのを見ました。それが、ドラマ『がんばっていきまっしょい』初回のシーンでした。その後、児童相談所は移転し、桜並木もなくなりましたが、桜の季節になるとその場面を必ず思い出します。
「がんばっていきまっしょい」、このことばは瞬時のうちに、私を高校生の時につなぐ魔法のことばです。高校生の私、入学式の日の偶然の出会いから始まり、部活を通してできた仲間と毎日毎日一緒にいて、尽きることなくたくさん語って泣いて笑って、驚くほど動き回って、呆れるほどたくさん食べて寝た、あの時あの場所を共にしました。「がんばっていきまっしょい」と聞くと友の笑顔が浮かび、「私は独りじゃない、みんなと一緒だ」と思えて力が湧いてきます。いつでもどこにいてもつながることができる魔法です。
ことばは力を与えてくれます。みんな一人ひとり大切なことばがあると思います。気持ちがいっぱいになって溢れそうになったら、静かに深呼吸をして手を胸に当てて心の中でそのことばをつぶやいてみましょう。そのことばがあなたを支えて守ってくれます。
(石丸)
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