ここで咲く
春うらら、始まりの季節、出会いの季節、ご縁の季節。新しい出会いは、一方では不安も付いてくるかもしれません。新しい学校や職場等での生活がスタートしました。中には、第一希望ではなかったことや、不本意な選択だったけれど仕方なく進まれた方もおられるでしょう。また、希望に胸を膨らませていたけれど、始めてみて戸惑いを感じている方もおられるでしょう。
思い出す言葉があります。約10年前のこと、福祉分野から違う仕事に変わらざるを得なくなって鬱積した気持ちを吐露した私に、児童虐待の講座講師を依頼したことでメールのやり取りをさせて頂いた心理学の専門家のある方がメールを返してくださいました。
「随所作主 立処皆眞(禅の臨済録)。どんな場所・境遇においても、主体性をもって自らその場に立つならば、常に自由で真なる世界に悠々と生きることができる。」と説明して、「何かの仕事に就くということは、自分の思惑通りにことを進めるということではなく、偶然の出会い、成り行きの中に自分の道を見つけること。」というご自身の就職活動時のエピソードを添えてくださいました。
「ここで咲きなさい。今、ここにいることには意味がある。今を生きなさい。ここにいる理由は見つかる。人生の中でムダことは何もない。一つひとつが繋がって結び付いて花が咲く。」と私は理解しました。それ以降、私は頂いたメールのメッセージを毎年新しくなる手帳に貼って、私自身の座右の銘として、「ここで咲こう」と努めています。
若いみなさんはこれから人生の様々な段階でたくさん想い悩まれることでしょう。モヤモヤする、納得いかない、落ち着かない時、無理に気持ちを抑えて隠すことはありません。そばにいる人に「なんか違う、ちょっとしんどい」と示せば、あなたのそばにいる人が声をかけて聞いてくれます。私たち大人はあなたのそばにいます。
まばゆい春の光、外がまぶしすぎると感じることもあるでしょう。あなたはここにいるだけでいいのです。
(石丸)
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