コラム

八重桜と空

 入学式を彩った桜の後、丸く優しい八重桜が咲く時期になりました。松山市三番町や千舟町の通りも、淡いピンクや白、薄い黄緑、濃い桃色等の華やかな八重の花が咲き、足を止めて見上げたくなります。
 八重桜を見て、毎年私はあることを思い出します。
 ある朝7時前に児童相談所に電話がかかりました。お母さんから「子どもを落としてしまいそう」。直ぐに私と同僚はそのお母さんに会いに行きました。ドアを開けてくれたお母さんは「大丈夫です、もう保育園に連れて行くところです」と淡々と言われました。お化粧もしてお出かけ前の準備ができているようでした。保育園へ行くことを約束し、また、いつでも電話をしてほしいと伝えて私たちはその場を離れました。帰り道、満開の八重桜が青空に映えていました。
 お母さんは子どもを保育園に連れて行き、保育園でたくさん話をしたそうです。お母さんから二度と児相に電話がかかることはありませんでした。
 保育所(保育園)では子どもを受け入れて保育すると共に、子どもの育つ家庭の支援をしています。子どもはもちろん親にも日々寄り添って、途切れることなく子どもと家庭を地域の中で支えます。こうして、子どもは地域の中で繋がり成長していきます。
 私があの頃であった子どもたちが今は保育園を使う親世代になっています。八重桜と空を見あげては、かつての、今の、そしてこれからの子どもたちを思いながら笑顔になります。
(石丸)


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