薔薇の花の頃
薔薇の花が香る3年前のちょうど今頃、我が家に初めて施設から姉妹がお泊りにきました。
お互いを探り合いながら一緒に過ごした週末。男の子しか育てたことのなかった我が家に、里子ちゃんたちがひらひら、きらきらと華やかな風を運んできてくれました。
「里親をやろうっ」と、長年の仕事を引退したばかりの夫が急に言い出したのはその一年前のこと。「法制度を変えてもちっとも変わらない現場を知らなければ」という強い思いに押されて夫婦で里親登録に漕ぎ付きました。
「年齢制限はないですよ」と言われたものの、私たち夫婦はもうそれなりの年ですので、たまの週末などに少女たちとゆる~く流れる時間を一緒に楽しむ程度ですが、会うたびに子らの背は伸び、言動も大人びて、ときどきポロっと洩らす本音に、きっといろいろ抱えているんだろうな、と胸がチクッとします。
子どもたちに幸せな未来を手渡すために、課題はまだ山積です。みなで立ち上げたNPOの仕事が私の日課になりました。変わろうとしている、変わらなければならないわが国の社会的養育のこれからに、里親支援の現場で取り組む日々です。
いっしょにご飯を作って食べて、おしゃべりしたり遊んだり、泣いたり笑ったり。
故あって家庭で育ててもらえない子どもたちが、一人でも多く、そんなあたり前の日常を共にしてくれる里親さんに出会ってほしいと願います。
里親とは名ばかりで「ばぁちゃんち」の役割くらいしかできませんが、こうして子どもたちの育ちに関わらせてもらえる縁を重くうれしく受けとめています。
(塩崎千枝子)
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