コラム
窯の女神
砥部町大南(とべちょう・おおみなみ)にある砥部焼ひろばの陶板「窯の女神」、砥部焼の女性作家グループ「とべりて」メンバーさんの作品です。目に飛び込む鮮やかな朱色は砥部焼窯の炎の色、強さの中に全てを包み込む大らかさと優しさがあります。女神の手から放たれた火は炎の花となって時には静かに、また時には激しく揺らぎながら美しい色と形の焼き物を創っていきます。その横には砥部焼の女神立像もあります。丸くやさしいフォルムですが、その表情は凛とした強さがあり『青踏』冒頭の平塚らいてうの言葉「原始、女性は太陽であった」を彷彿とさせます。
私はこれまで幾度もこの前を通りました。その都度、女神様が「お帰り、よー帰ったね」と迎えてくれました。「ただいま!」と言えば「お帰り」と変わらぬ笑顔で迎えてくれる人がいる幸せ。それは子どもも大人も同じこと。当たり前の何でもない普通のことこそが何よりかけがえのない宝物です。そういうことを一人でも多くの子どもたちが経験しながら成長することを願っています。
(石丸)
【次回:】
【前回:媛小春、愛媛の春】