月白(げっぱく)

「月白(げっぱく)」この言葉を聞かれたことはありますか。この程、松山市在住の作家宇佐美まことさんが新刊「月白(げっぱく)」(朝日新聞出版)を出されました。
宇佐美さんは、これまでに30以上の作品を出されており、どの作品にも社会的な問題と人が描かれています。子どもに関わる作品も多く、「展望塔のラプンツェル」では児童虐待や弱者への暴力を、「月の光の届く距離」(光文社)では里親や特別養子縁組等社会的養育を考える物語を描かれています。
新刊「月白」でタイトルとなった「月白」について宇佐美さんはこう書かれています。「げっぱく」と読む時その色は、「青みがかかった寒々しい白」で、「これを『「つきしろ』と読むと、月が昇る前に、東の空がだんだん明るんで白んでいく様子を表して、俳句の季語になるんだ」(小説「月白」から引用)
小説は「月白(げっぱく)」の中を生きた戦災孤児たちの姿を児童福祉の観点で描かれており、読む者自身が深く考えることとなります。「展望塔のラプンツェル」の続編が「月の光の届く距離」と言われていますが、「月白」はまさに児童福祉の出発点を描いており、社会で子どもを育てる原点が見えてきます。
「月白」の中に、「子どもは守ってやらねばならん。一番近くにいる大人がな」という言葉が出てきます。これは、80年前も今も同じこと。今も日本中に守ってくれるその手を待っている子どもたちがいます。「月白(げっぱく)」ではなく、一番近くにいる大人が子どもを優しく包み込む月の光となる、そんな社会を作りましょうというメッセージをいただいたように思いました。
(石丸)
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